
VFXセクション『ばいばい、アース』オーラ特集
VFXセクションで撮影を担当し、2024年7月12日より公開された『ばいばい、アース』。
作画での表現のみならず、多種多様なエフェクト制作をVFXセクションで担っていました。
その中でも特徴的だった「オーラ」表現の制作秘話を、撮影監督の室塚勇伎さんに語っていただきました!








Q1. 本作のエフェクト制作の経緯を教えてください
『ばいばい、アース』はVFXセクションでイチから作成するエフェクト数が多いとのことで、本編の撮影作業が開始するかなり前から、監督やメインスタッフと定期的に打ち合わせを行って、ビジュアルのすり合わせを行っていました。
社内の別作品と比べてもエフェクト数が多く、管理も大変になりそうだったので、打ち合わせなどを円滑に進められるように、テクニカルサポートに「撮影処理カタログ」を作成して頂き作業を進めている状態でした。


その中でも本作のオーラは、キャラクター別・勢力別など、本当にたくさんの種類が存在します。 ベルのオーラは、成長に合わせて色と見た目が変化していて、1期だけでも赤・紫・青・緑と4種類に及びます。
ベルのオーラはベル専用となっているので、ほかのキャラクターには汎用のオーラや、シーン・シチュエーションに合ったオーラを別に作成しています。
Q2.特にお気に入りのオーラはありますか?
8話からベルが纏っている緑色のオーラがお気に入りですね。

「ノイズ」をベースに作成していて、オーラのエフェクトを2つ作成し、キャラクターの上と下で重ねて、その上に粒子を足しています。
複数の動きをともなうエフェクトを乗せている(重ねている)ので、厚みのあるオーラが作成できたかなと思っています。
Q3.ズバリ、どうやって作るのでしょうか?
ベースのフラクタルノイズを作成します。

そのフラクタルノイズをセルの形に切り抜きます。

切り抜いたものにタービュレント系の変形エフェクトを複数足します。

色を付けて発光感を足したものがセルの下に置いていたオーラエフェクトになります。

この要領でセルの上にのせるオーラエフェクトも作成していきます。
まずベースのフラクタルノイズを作成。

それをセルの形に切り抜きます。
今回はセルの上にのせるためセル全面にオーラが乗らないようにセルの周りにだけ表示されるようにしています。

それに今回もタービュレント系の変形エフェクトを複数足します。

この素材に色と発光感を足してセルの上にのせると以下のようになります。

先ほどのオーラエフェクトを上下に置いて、その上から粒子エフェクトを足し、セルとオーラを馴染ませるために、先ほど使用したベースのフラクタルノイズを上に薄く置いて完成になります。

完成動画
Q4.VFX(撮影)の仕事を志すかたにアドバイスをお願いします!
作品に合った雰囲気を大事に撮影作業をするのが大前提ですが、自分が思う「良い絵面」のイメージを持っていると、より良い撮影作業ができると思います!
撮影監督が作品の雰囲気を見てある程度は撮影処理を決めますが、カット毎の細かい指示までは出しきれないことが多いです。自分が担当したカットだけ光源が見えたとして、光源にレンズフレアが入った映像が綺麗だったな、といった良い絵面のイメージがちゃんと頭の中にあると、「カットに合った説得力のある処理」が足せるようになると思います。
映像作品だけでなく、普段の生活で見るような風景でもいいので、良い絵面だなと感じたら「なぜ良い絵面に見えるのか」を考えておく。すると、実際の撮影作業でそんな処理足しが自然とできるようになってくるんじゃないかと思います。
普段見ているものが映像作りに繋がっていくのでぜひ意識して過ごしてみてください!
©冲方丁・KADOKAWA/WOWOW, ソニー・ピクチャーズ, クランチロール
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